英会話ではまず70%の音の聞き取りを目標にする

「英語はあなたが思っているようには聞こえてこない」

さて、リスニングについての続きです。
映画「ユーガットメール」の中のセリフの一部、
“His truck hit a deer last night.” をご紹介しました。

それが日本人には「ヒズラッケディア、ラスナイ」と聞こえてくると書いたのですが、
それに対してこんな質問をいただきました。

「そのように聞こえると言うのは、あらかじめ知っている必要があるんでしょ?」という内容のものでした。

ひとつ例をだしてもう一度説明しましょう。

先日渋谷を歩いていたら、アメリカ人の中学生が5人くらい、向こうから歩いてきました。
その中の一人が友達に向かってすれ違いざまに、”You shut up”というのが聞こえたのです。

「ユー シャラップ」 これはみなさん、耳にしたらすぐにわかるでしょう。

Shut up というのを「シャラップ」と発音するのはずっと昔から、多くの日本人が
ほぼ共通語として、知ってます。だから「シャット アップ」ではなく、「シャラップ」という発音で聞き取ることができる。

私が小学生の頃、東京にある向ヶ丘遊園地のアイススケート場に学校の生徒全員
で行った事がありました。ちょうどそのとき、多分アメリカンスクールかインターナショナルスクールと思われる子供が10人くらいスケートをしていたのです。

子供同士ですからちょっとづつ仲良くなっていきましたが、英語なんてまったくしゃべれないし、向こうも日本語がまったくわからない。

で、私はとっさに「ヘイユーフワッチャネーム?」と言ったのです。

私はこれが、名前を聞くときに使うフレーズだと知っていました。
何で知ってたかというと、当時はやりの日本の歌謡曲に歌手が、このフレーズを連発する歌があったからです。

私のあまりに無礼な言い方に相手の子は、まず、びっくりして目を真ん丸くし、それから自分の名前を大声でどなるように言い返したのをいまでも覚えています。

英語がわかるようになった今ではホントに恥ずかしいことを言ったと反省してますが、彼があまりにも怒るようにどなっているので、印象に残っているのです。

いきなり見ず知らずの日本人の子供から「おめえ、なんて名前なんだよ、えーっ!」
て言われたようなもんだから、怒るのは当然ですよね。

でも、「フワット イズ ユア ネーム?」ではなく、「ヘイユーフワッチャネーム?」と丸呑みで覚えていたから、「名前を聞くときはこういうんだ」と子供ながらに覚えていた。

で、今度はその子供は私に “What’s your name?” と聞き返してきたのです。
私の脳みそは、「フワッチャネーム」と音を聞き取り、とっさに自分の名前を言いま
した。

もし子供の私が、日本人英語教師の「フワット イズ ユア ネーム?」という発音しか知らなかったら理解できなかったかもしれないと思います。

つまり、聞き取れない英語があったら、それは聞き取れないというのではなくて、
「あなたが認識しているとおりの発音ではない」というだけのことなのです。

誰も学校で習ったようには発音してくれない。それなのにあなたは学校で習ったよう
に聞こえてくるもんだと思い込んでいる。だから聞き取れなくて悩み、自分には能力が
ないと考え込んでしまう。

今まで習った発音を捨て去って音に耳を傾けてみてください、ということなのです。

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音の聞き取りができてくると、次の段階の理解力の向上へと進む。
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英語音がある程度聞き取れるようになってくると、英語に対する違和感がなくなり、
かなりの音を自分の耳で捉えることができるようになります。

それから次の段階として、意味を理解していくようにしてみます。

このステップアップの段階の目印として、

「ネイティブの英語を聴いて、70%程度の音が聞き取れると感じたら、次の段階へ
進む」と考えればいいと思います。

これはかなり高度なレベルで、70%リスニングできれば、総合的な英語力としてもTOEICで900点前後は越えると考えています。

もちろん、いきなりそのレベルに達するのは難しいし、そのための工夫も必要です。

多くの英語学習者は、英語が英語のまま聞こえてくることに感動し始めるのですが同時にその意味を取りたいと思うようになってくる。

これは、当然のことですが、その時点で日本語の全訳を見せて、「はい、意味はこれですよ」ってやってしまうと、そこで、思考の転換が起こってしまう。
ここでいう思考の転換というのは、「日本語で理解する」という余計なことを意味しています。

これをしてしまうと、結局いちいち日本語に訳さないと意味がわからなくなり、
次の段階の

2. 話の内容を理解する(Interpreting)へなかなか移行できなくなって
しまいます。

この2の段階への移行もまた、大きなステップが必要なのです。

そこで、私は、「単に音として捉える(Sensing)」段階で70%の把握力を
もたずとも、そこから意味合いをとっていけるように、全体の一部だけを録音したレベル別英語を聴くことを推奨しています。

英語を聴いている音と音に間隔があるので、かなり余裕をもって英語音を聞き取ることができる。
さらに、全訳を自分の頭の中ですることのないよう、部分部分しか英語が録音してい
ない。

断片的な英語の意味を自分の頭の中で組み立てながら、英語を聴いていく。

自分で理解できる意味をもとに全体の意味の推測をする。
これを繰り返していくと、英語の聞き取り能力が向上していくにつれ、話の内容を理解する(Interpreting)の訓練も進めていくことができる。

こうすることで70%のリスニング把握力がついたときに、話の内容を理解する(Interpreting)訓練もある程度進んでいて、一石二鳥になるのです。