ニューズウィークの特集「どうやって英会話力を向上させるか?」

ニューズウイークのつり革広告がたまたま目に入ったので、買ってみた。

興味があったのっは、「どうやって英会話力を向上させるか?」という特集だった。
特集といっても、ほんの数ページしかなかったから、期待したほどの内容ではなかっ
たが、最も効果のある方法をひとつあげていた。

それは、「数日間から数年間その言語だけの環境に浸ること」。

たしかにこれが一番効果がある。
米国に住んでいる私の友人で、訴訟などの同時通訳を仕事にしている知人も同様のことを言っている。

しかし、残念ながら私たちは日本に住んでいる。

やっぱり海外にいると、スタバでコーヒーを買うときでさえ、ちょっとした会話が成
立する。こういった会話の連続が、頭から日本語の環境を排除して、常時会話をして
いるときは英語だから、日本語がでてくる余地がなくなる。

こうなると、英語の上達は非常に早くなる。

前出の知人も話していたが、同時通訳と言うのはかなり特殊な訓練をする。
それは、わざわざ英語を日本語に変換するという方法をとることだ。
職業柄、もちろんこれは必須なのだが、通常英語で会話をしているときは、日本語に
いちいち訳す必要はない。

だから、同時通訳の訓練を受けたことがない人が、わざわざ日本語に訳して意味を理解していくことは、ほとんど驚異的だと話していた。

「話すそばから、会話はドンドン進んでいくでしょ。それを2つの言語で追っていく
のは、スピード的に非常に大変。同時通訳などの特殊訓練を受けていないとムリ、ム
リ、ムリ。絶対ムリ!」と連発してくれた。

でも、私たちは、日本語に訳してはじめて物事を理解していると、考えている。だから訳さなくっちゃ始まらない!?

しかし、これも実は間違い。

ものの本によると、普段考えていることを、実は母国語レベルにさえ、置き換えてい
ない。

何か考え事をしているときに、その考え事を常に日本語でおこなっているならばアタ
マがパンクしてしまう。

それは、常に「ひとりごと」を言っているのと同じ。

しかし私たちは、常に独り言をいってるわけじゃない。アタマの中で考えていること
は、通常は概念レベルでおこなっている。
言葉にまでは、落とし込んでいないのだ。

だから、物事を概念で捉えることを常日頃している。

試しに、日本語のNHKニュースを聞いてみるとよく分かる。

1分ほど聞いた後で、同じ日本語を繰り返すことができるかというと、ほとんどム
リ。
できるのは、「こういった話題だった」という程度だ。
これは、聞くそばから自分の頭の中で概念として蓄積されていくからだ。
話されている言葉をそのまま記憶しているのではない。

同時通訳を受けていないが、子どもの頃に海外で生活していた帰国子女などは、英語も日本語も非常に堪能であるケースが多い。

ところが、じゃあ、通訳をやってみて、と頼むと、同時通訳のような、「一語一語の
通訳」はまずできない。

できるのは、英語で聞いた内容と、同じ内容を「自分の日本語で話す」ことだ。

この違いはお分かりだろうか?

つまり、同時通訳というのは、「機械」に等しい。

こういった単語はこのように日本語に当てはめる、という辞書をあらかじめアタマに
抱えている。
それで、それを英語から日本語、または日本語から英語へとドンドン変換していく。

ところが、英語も日本語も堪能な人は、
英語で聞いたことは、そのまま「英語経由で自分の概念として」理解する。
日本語で聞いたことは、「日本語経由で自分の中で概念化」する。

だから、直訳方式じゃなくて、あくまでも概念があって、そこから言語へと通じてい
く。

帰国子女の山岸さんと仕事を一緒にしたときは、英語のフレーズについて、日本語で
解説しようとしたときに、「んーー、これは適当な日本語が思い浮かばない」という
ケースが何度も出てきた。

英語で捉えた概念を、日本語に変換するのに時間がかかってしまうのだ。

先に紹介したニューズウイークの例も同じだろう。
できるだけ長い期間、その国の生活をしていけば、その国の言語=>アタマの中で概
念化というのが自然にできてくる。

私はこれを「イメージング」といっているが、このほうが、同時通訳者や帰国子女が
指摘するように、わざわざ日本語に訳すのよりも実はカンタンなのだ。

これができるようになると、不思議なことも体験する。
たとえば、ペーパーバックなどを英語で読んでいると、もちろん楽しくなる。
英語で読んでいるから、英語=>概念化(イメージング)していく。
読み終えた後に、楽しかった、という印象が残るが、日本語で内容を説明して、と言
われると、なかなかうまく日本語になってこない。
これは、英語での概念化と日本語との間にパイプができていないからだ。

先ほどの、英語で理解できるが、「うまい日本語がスグにでてこない」帰国子女の
ケースに似ている。

この状態は、ちょっと奇妙だが、英語を英語のまま理解できるようになってくると、
この体験をするようになってくる。