カナダ人が教えてくれた語学上達法

私が仕事をいっしょにしているカナダ人がいます。

日本で日本語を覚えるときに、普段友人や仕事仲間とで日本語だけの生活を送るのがベスト、一番役に立った、といっていました。これはもっともな話なのですが、彼が日本語を上達させたもう一つのおもしろいノウハウをご紹介しましょう。

彼は、NHKの英語講座を「日本語の勉強のため」にみていたそうです。そしてこれはとても役立ったというのです。

どういうことかというと、このたぐいの講座は、言葉の量が英語3:日本語7 位なのだそうです。つまり、圧倒的に日本語が多い。一つの英語の文章を、2,3分かけて日本語で説明するわけです。そうすると、英語の文章はもちろんネイティブだから問題なくわかる。それについての日本語が、ズラズラっと説明されるわけなのです。その日本語がとても勉強になるというのです。

なるほど、母国語が誰でも理解できるので、あらかじめそれをインプットするのはカンタンなことです。

次に、それについて外国語であれこれと説明してくれるわけです。

母国語で十分理解できているから、外国語であれこれ説明してくれるときに、「ああ、多分こんなことをいってるんだな」とか「なるほど、こんなフレーズを使うのか」とかが良くわかるのです。さらに、一つの母国語に対し、数多くの外国語で説明してくれるので、そのうちいくつかはわかるようになってくる、というのです。

私たちの例に置き換えてみると
日本語の文章やダイアログ(対話)が紹介される。

それを、英語であれやこれや、と説明してくれるわけです。

なるほど、これならば、日本語をあらかじめ理解しているので、それに対しての英語も何となくわかってくるのではないでしょうか。しかも説明される英語の分量はとてつもなく多いので、そのうちにいくつかはわかるでしょう。これを繰り返していくうちにどんどん理解できる量が増えていくという仕掛けです。

これは、なかなか面白い語学習得の方法だと思いました。
何か、手ごろな日本語習得講座があれば試してみる価値はあるかもしれません。

くだんのカナダ人は、今は日本語に全く不自由なく仕事をしていますが、

彼いわく、「あの講座、英語学習用でなく日本語習得用にしたらホントに効果あると思うんだけど。」といってました。

同じような例が子供の教育番組にも当てはまります。
あなたは多分「セサミストリート」というアメリカの子供向け番組をご存知だと思います。日本でもNHKで長年放映されている番組です。
この番組は、アメリカでも大成功を収めた番組で、3歳から5歳くらいの子供に「読み・書き」を教えるために作られた番組です。
私たちは何気なく番組を見ていますが、そこには言語能力を発達させるありとあらゆる工夫がされていて、これは私たちの英語上達にもとても役立つ方法がいくつか隠されています。

「読むこと」を教える場合でも、その前提には当然「聞いてわかる」というのがある、というのが面白いところです。

つまり、「聞く」ということは、「読む」ことのできる必須条件となっているわけです。
「なぜあの商品は急に売れ出したのか」(マルコム・グラッドウェル著・飛鳥新社)では、次のように説明しています。

「読むということは、一個一個の異なる発音を結合することだと子供たちに教える。たとえば、hug(抱きしめる)という単語を教える場合、女性の人形が画面中央に映し出されているHUGという文字に近づき、Hの背後で丁寧にその発音を声に出し、続いてU,Gへと移動していく。彼女はもう一度左から右へと移動しながら、一文字づつばらばらに発音し、最後にはハグという発音をしてみせる。するとヘリー・モンスターが登場して、やはりこの発音を繰り返す。このコーナーは、ヘリー・モンスターがうれしそうな女の子の人形を抱きしめるところで終わる。」

わかりづらいかも知れませんが、こういうことです。
子供たちは、すでに聞いたらhugという単語が「抱きしめる」という意味であることは知ってます。「ママ抱っこ」などの時によく「hug me」と子供が最もよく使う単語の一つです。

それを文字として(読むこと)教えるのに、まず
H の文字を見せて 「ハッ」と発音する。
次に U の文字を見せて 「ウッ」と発音。
それから G の文字を見せて 「グッ」 と発音する。

これを次第に早くおこなう
すると
H  U  G  「ハッ  ウッ  グッ」が、だんだん間隔が詰まってきて
H U G 「ハッウッグッ」
そして
HUG 「ハゥッグ」となっていくわけです。
ここで重要なのは、子供たちはすでに「聞いたらわかる」状態にあるということです。
これが、私たち日本人の方法とまるで逆さまなのです。
私たち日本人は、見たら「勉強したことあるので」読める。でも聞けない、だから聞いても理解できない、という順序です。
これは、日本語が基本的には「読み書き」が中心の言語であるのに対して(たとえば同じ発音でも違う漢字を当てはめるなど)英語では、音が中心の言語であることに由来しているからかもしれません。

整理すると次のようになります。
ネイティブが英語を習う順序
1音で聞いてその音が拾える
2音で聞いて理解できる
3音をベースにして、読むことを覚える(音で聞き取り理解できることが前提)
4さらに書くことも覚える
日本人が英語を習う過程
1英単語の日本語訳を覚える(move=動く、need=必要 など)
2英文を単語ごとに日本語に訳す
I ate three apples. 私は3つのりんごを食べた。

つまり日本人の場合は音から入らずに、いきなり、英単語の対となる日本語を覚えてしまうため、英文を見ても必ず日本語に訳すし、リスニングでも必ず日本語に訳して理解しようとする。

英語学習の入り口が、日本語ならばどういう意味か? というところから始まっているので、いつまでたってもそこから抜け出せないのでいるのです。

そのため、「英語3段とび吸収法講座」では、人が言語を覚える順番である
1. 単に音として捉える(Sensing)
2. 話の内容を理解する(Interpreting)
3. 話の内容を自分になりに解釈する段階(Evaluating)
4. 話の内容に対して反応する(Responding)

の順番でないと、コミュニケーション能力は上達しないと考えています。
ここが、従来の、「いきなり日本語訳から」という英語学習と大きく異なるところです。

英語は音から入る
音から入る時のノウハウがわかるようになると、世界はがらりと変わります。